これまでのPCに搭載されていたCPUはIntelのみでしたが、近年はAMDのRyzenやAppleのM1など様々なCPUが登場しています。
CPUを各メーカーが製造するようになり、メモリなどのPC周辺機器の相性問題が起きるようになりました。
ここでは、Ryzen対応のメモリの選び方・実際におすすめするRyzen対応のメモリを紹介します。

メモリとは
メモリとは、PCが処理すべきデジタルデータを一時的に記憶する部品のことです。
メモリ容量は多いほどPCの性能が高くなり、大量のデータを処理できます。メモリは可能な限り搭載しておくといいでしょう。
メモリにはランクという考え方があり、メモリのアクセス速度に影響します。しかし、一般用途では極端な性能差は発生しないため、気にする必要はありません。
Ryzen非対応のメモリについて
メモリはCPUとの相性問題があり、相性が悪いとOSが起動せずブルースクリーンの原因になりかねません。
比較的新しいメモリやアプリであれば、Ryzenの動作テストが行われています。しかし、PCのメモリはIntelという思想で作られたメモリやアプリが多数存していて、動作確認が取れていないのも事実です。
Ryzenに搭載するメモリは、新しい物か動作テストが実施されている物にしましょう。
メモリの種類
メモリの主な種類を解説します。
- デュアルチャネル構成
- シングルチャネル構成
デュアルチャネル構成
デュアルチャネルとは、同じ規格のメモリを並列化することで、データ転送速度を2倍に引き上げる技術のことです。
一般的なマザーボードはデュアルチャネルに対応できるように、メモリスロットを2個以上備えています。
PCのメモリ容量が同じでも2枚に分散することで、並列にデータを処理できるため劇的に高速化することが可能です。
シングルチャネル構成
シングルチャネルとは、デュアルチャネルとは異なりメモリ1個でデータ転送を行う技術です。初期のPCはシングルチャネル構成だったが、Intel 865 chipsetを機にデュアルチャネルが登場しました。
シングルチャネルはメモリ容量を多くしても、一度にデータ転送できる量が限られるため速度がでません。そのためメモリは少量でも2枚挿しがおすすめです。
Ryzen対応メモリの特徴
Ryzen対応メモリの特徴を解説します。
- DDR3とDDR4
- デュアルチャネル構成
- メモリのプロファイル
DDR3とDDR4
メモリの表記に使われるDDRとは、「Double Data Rate」の略式であり、末尾の数字が大きいほど新しいことを意味します。
メモリは後方互換という概念がないため、最新のマザーボードにDDR3のメモリを搭載することができません。メモリのピン数変化や電圧変化があるため、マザーボードの製造時期に合わせてメモリを選定します。
デュアルチャネル構成
Ryzenを使用する場合は、メモリをデュアルチャネルで使用することを推奨します。メモリ速度の速い高価なCPUを搭載しても、メモリが足を引っ張っては意味ありません。
CPUの力を引き出すためにも、メモリはデュアルチャネル構成で使用すべきです。デュアルチャネル構成はRyzenだけでなく、Intelも同様に言えます。
メモリのプロファイル
メモリのプロファイルとは、XMPに対応した高性能なメモリを、マザーボード側に正しく認識させるために必要なデータのことです。
マザーボードはJEDEC(半導体技術協会)の定めた規格でメモリを動作させるため、XMP対応メモリを使用してもスペック通り動作しません。
XMP対応のメモリを使用するときは、プロファイルをダウンロードする必要があります。
Ryzen対応メモリのおすすめメーカー
Ryzen対応メモリのおすすめメーカーを解説します。
- G.Skill(ジースキル)
- Crucial(クルーシャル)
- CFD(シーエフデ―)
G.Skill(ジースキル)
G.Skillは中国に本社を置くメモリモジュールメーカーです。日本では販売代理店としてアントラックが担当しています。G.Skillはオーバークロックメモリを得意とするメーカーです。
メモリはメモリクロックやレイテンシの調整により性能を強化でき、強化されたメモリをオーバークロックメモリ呼びます。
自作PC界隈では、デザインが非常に格好良く人気の高いメーカーです。
Crucial(クルーシャル)
CrucialはMicron Technologyが展開する一般販売向けブランドの1つを指します。Micron Technologyはアメリカに本社を置く半導体製造の多国籍企業です。
Crucialは部品の製造から製品の組立までを自社で行っています。そのため、Crucialのメモリは高いコストパフォーマンスと品質を確保しています。
CFD(シーエフデ―)
CFDは日本の愛知県に本社を置き、PC部品および周辺機器を製造販売するメルコグループの1つです。メルコグループはCFDの他にもBUFFALOブランドで周辺機器を製造しており、海外にも展開しています。
CFDは玄人志向のブランド名でPC自作パーツの販売を行い、グラフィックボードはBCN AWARDで過去に何度も一位を獲得するほど人気ブランドです。
メモリの選び方
メモリの選び方を解説します。
- デスクトップ用かノート用か選ぶ
- メモリ規格で選ぶ
- メモリ容量で選ぶ
デスクトップPC用かノートPC用か選ぶ
メモリはデスクトップPC用とノートPC用で、形状が違います。デスクトップPC用を「DIMM」、ノートPC用を「SO-DIMM」と呼び、2種類のメモリはピン数が異なるので互換性はありません。
DIMMの形状は細長い長方形に対して、SO-DIMMの形状はカードのような長方形をしています。
メモリを購入するときは、形状を確認しましょう。
メモリ規格で選ぶ
メモリの規格は「DDR」で表されています。最新のPCは「DDR4」の規格に準拠しており、少し前の「DDR3」の規格に対応したメモリは使用できません。
またDDR4の後ろに「2666」や「3200」といった数字が並びます。この数字はメモリの動作周波数のことで、数字が高いほど高性能なメモリです。数字の単位は「MHz」で表されています。
メモリ容量で選ぶ
メモリ容量はPCの処理速度に大きく影響します。ゲーミング用などの高性能なPCはメモリを多く搭載しており、ゲームや映像編集以外で処理が遅くなるようなことはまずありません。
Windows10のPCなら、メモリは8GBが最低ラインです。PCを快適に使用するためには、メモリを多めに用意することをおすすめします。
Ryzen対応メモリのおすすめ10選
おすすめのメモリを紹介します。
Kingston HyperX Predator RGB 8GB×2枚
- オーバークロック対応のメモリ
- アルミ製のヒートスプレッダー
- 同期制御可能なRGB
Kingston HyperX Predator RGBをおすすめする理由は、オーバークロック対応メモリであり、高い冷却性能を備えているからです。
Kingston HyperX Predator RGBはXMPに対応したオーバークロックメモリで、表記の「3200MHz」よりも高いメモリクロックを発揮します。
オーバークロックメモリは発熱問題が生じますが、ヒートスプレッターにアルミ製を用いることで発熱を抑えることが可能です。
G.Skill TridentZ Neoシリーズ 16GB×2枚
- オーバークロック対応のメモリ
- アルミヒートスプレッダー搭載
- 制御可能なRGB
G.Skill TridentZ Neoシリーズをおすすめする理由は、オーバークロックに対応しており、冷却性の高いアルミ製を用いているからです。
G.Skill TridentZ Neoシリーズは、Ryzen3600などのRyzen3000シリーズに最適なオーバークロックメモリです。そのためメモリクロックを3600MHzで動作させられます。
メモリをアルミ製のヒートスプレッダーで冷却しているため、オーバークロック時の発熱を抑制することが可能です。
G.Skill TridentZ Royalシリーズ 32GB×4枚
- 非常に美しいデザイン
- オーバークロック対応のメモリ
- 32GBの4枚挿し
G.Skill TridentZ Royalシリーズはデザインが特徴的で、ライティングを組み合わせることで非常に美しくなります。本体は鏡面仕上げで高級感があり、発光部位がかなり作り込まれたデザインです。
デザインだけでなくメモリとしての性能も高いため、オーバークロックに向いています。
TEAM Elite Plus シリーズ 8GB×2枚
- JEDEC準拠品で安心
- リーズナブルな価格
- 格好いいデザイン
TEAM Elite Plus シリーズをおすすめする理由は、JEDEC準拠品の安心感と価格が安いからです。
TEAM Elite Plus シリーズはオーバークロック非対応のJEDEC準拠品のため、相性問題が発生しません。JEDEC準拠品はBIOSの設定などが不要であり、初心者でも安心して使用できます。
TEAMのメモリはリーズナブルな価格で購入しやすく、オーバークロック対応メモリの半額程度で購入可能です。
Crucial W4U3200CM-8G 8GB×2枚
- Ryzenの互換性が高い
- JEDEC準拠品で安心
- シンプルなデザイン
Crucial W4U3200CM-8GはRyzenとの互換性が高く、最新のRyzen5600XなどのRyzen5000シリーズとも相性が良いと言われています。
JEDEC準拠品のメモリなので、オーバークロックをすることはできません。そのため、メモリの相性問題や熱暴走といった心配はないでしょう。
Crucial BL2K16G32C16U4B 16GB×2枚
- オーバークロック対応のメモリ
- アルミ製ヒートシンクを搭載
- 本体色は3種類
Crucial BL2K16G32C16U4Bをおすすめする理由は、オーバークロック対応メモリであり、熱抑制にアルミ製ヒートシンクを使用しているからです。
Crucial BL2K16G32C16U4BはIntelとAMDに対応したオーバークロックメモリであり、XMP2.0の自動オーバークロックをサポートしています。またメモリはアルミ製のヒートシンクで覆われているため、放熱の最大化が可能です。
本体は3色展開されているので、好きな色を選べます。
CFD販売 CX1シリーズ 16GB×2枚
- オーバークロック対応のメモリ
- オープントップ型ヒートシンクを搭載
- 永久保証の国内ブランド
CFD販売 CX1シリーズをおすすめする理由は、XMP2.0に対応したオーバークロックモデルで、冷却性能に優れているためです。
CFD販売 CX1シリーズは、RyzenのAM4プラットフォームをサポートしているため、Ryzen5000シリーズといった最新CPUに対応しています。オープントップ型のヒートシンクを採用しているので、排熱性能が高く冷却性能に優れた構造です。
また、数少ない国内ブランドメーカーであり、信頼性と耐久性を保証しています。
ADATA AD4U320038G22-DA 8GB×2枚
- 価格が安い
- JEDEC準拠のため安心
- 安心の永久保証
ADATA AD4U320038G22-DAをおすすめする理由は、価格が抑えられており、かつJEDEC準拠品だからです。
ADATA AD4U320038G22-DAはJEDEC準拠品のため、オーバークロックは対応していません。そのためメモリクロックは3200MHzで使用するので、動作が安定しています。
オーバークロックやRGB制御を搭載しておらず、とてもシンプルなメモリです。価格が安く購入しやすいメモリと言えます。
v-color TN416G32D822 16GB×1枚
- 完璧な互換性
- 安定した動作
- コストパフォーマンスに優れる
v-color TN416G32D822をおすすめする理由は、Ryzenとの完璧な互換性と安定した動作が特徴だからです。
v-color TN416G32D822は「Intel」と「Ryzen」のメモリクロック3200MHzまで、完璧な互換性があります。v-colorは製品の特徴として掲げており、安心してメモリ増設を行うことが可能です。
動作も非常に安定しており、相性問題など考える必要がありません。またシンプルで高品質なだけでなく、価格も抑えられています。
Crucial CT8G4SFS8266 8GB×1枚
- 安定した動作
- コストパフォーマンスに優れる
- 互換性が高い
Crucial CT8G4SFS8266をおすすめする理由は、安定した動作で価格が安いからです。
Crucial CT8G4SFS8266は定番のノートPC用メモリのため、使用者がとても多く実績もあります。製造メーカーのCrucialは大手なので、安心して使用できるメモリです。
ノートPCはメモリスロット数が2つ用意されていることが多く、1つは初期で挿してあります。あと少し処理性能を上げたい時に便利な、価格が安く増設しやすいメモリです。
ライターあとがき
AMDのRyzenはコストパフォーマンスが高く人気があります。最近では、一般家電量販店にもRyzen搭載のPCが並ぶようになりました。
高性能なRyzen5000シリーズや高コストパフォーマンスのRyzen3000シリーズは、ベンチマークが高く自作PCによく使われます。
AMD製Ryzenの性能を引き出すためにも、メモリを増設して快適に使用しましょう。